ハンドメイド作品の値段の決め方|計算式と時給の考え方【例つき】
更新:2026-10-15
「材料費が安いから500円くらいかな」「同じような作品がこの値段だから合わせよう」。ハンドメイドの値段は、こんなふうに決めてしまいがちです。 でも、売れたあとに手数料と送料を引いて、かかった時間で割ってみると、時給が数百円だった……ということも少なくありません。
この記事では、作品の値段を「手元に残したい額」から逆算する方法を、具体的な数字で説明します。
値段を決める5つの要素
作品1点の値段には、次の5つが入っている必要があります。
| 要素 | 中身 |
|---|---|
| 材料費 | パーツ、布、糸、レジン液など、その作品に使った分 |
| 梱包・その他 | OPP袋、台紙、ショップカード、緩衝材、ラッピング |
| 工賃 | 制作時間 × 自分の時給。撮影・出品・梱包の時間も含めると正確です |
| 販売手数料 | minneやCreemaなどのサービスに払う手数料。売れた価格の約10%が目安 |
| 上乗せ利益 | 道具の買い替え、試作の失敗、売れ残り、値引きへの備え |
送料込みの価格で売る場合は、ここに送料も加わります。見落としやすいのが「工賃」と「手数料」です。
計算式:手数料は「割り算」で考える
販売手数料は売れた価格に対してかかるので、あとから足すのではなく、割り算で逆算します。
販売価格 =(材料費 + 梱包費 + 工賃 + 上乗せ利益 + 自分で払う送料)÷(1 − 手数料率)
たとえば手元に1,000円残したくて手数料が10%なら、1,000円 × 1.1 = 1,100円ではなく、1,000円 ÷ 0.9 = 約1,112円が必要です。 1,100円だと、手数料110円を引いて990円しか残りません。
さらに、minneやCreemaのように送料にも手数料がかかるサービスでは、送料を別にもらう場合でも、その送料の約10%は自分の負担になります。
例:天然石のフックピアスの値段を決める
次の条件で計算してみます。
- 材料費:131円(ピアス金具、天然石ビーズ、9ピンなど)
- 梱包・その他:40円(台紙とOPP袋)
- 制作時間:30分(撮影・出品・梱包を含む)
- 目標の時給:1,000円 → 工賃は500円
- 上乗せ利益:10%(約67円)
- 販売先:minne(手数料10.66%、送料240円は別にもらう)
手元に残したい額は 131 + 40 + 500 + 67 = 738円。 送料にかかる手数料も含めて逆算すると、必要な価格は約855円になり、10円単位に切り上げて860円がおすすめの価格です。 860円で売ると、手数料約117円を引いて743円が手元に残り、時給は約1,143円になります。
「材料費×3」で決めるとどうなる?
よく聞く「材料費(原価)の3倍」で決めると、(131 + 40) × 3 = 513円です。この価格で売った場合、手数料を引いた手取りは約433円、 材料と梱包を引いた自分の取り分は約262円で、時給にすると約523円です。
材料費が安く、手間のかかる作品ほど「原価の3倍」では足りなくなります。反対に、材料費が高くてすぐ作れる作品では、3倍だと高すぎることもあります。 倍率ではなく、時間と手数料から逆算するのがおすすめです。
時給はいくらにすればいい?
決まりはありませんが、地域の最低賃金(2026年度の全国平均は1,177円)を最初の目安にする人が多いです。 最初は相場に合わせて低めにして、慣れて早く作れるようになったら、同じ価格でも時給が上がっていく、という考え方もあります。
大事なのは、時給を「なんとなく」ではなく数字で把握しておくことです。どの作品が割に合っていないかがわかると、見直す場所が見えてきます。
制作時間の正しい測り方
- まとめて作る作品は「合計時間 ÷ 個数」:10個を5時間で作ったなら、1個30分です。
- 作業以外の時間も入れる:撮影、写真の加工、出品文を書く時間、梱包、発送も立派な作業時間です。
- 一度だけ実際に測ってみる:感覚で見積もると、たいてい短く見積もってしまいます。
計算した値段が相場より高いときは
逆算した価格が、似た作品の相場よりかなり高くなることもあります。そのときは、値段だけを下げるのではなく、次のような方法を考えてみてください。
- 工程を見直す:同じ作業をまとめてやる、道具を変えるなどで、1点あたりの時間を減らす。
- 材料をまとめ買いする:単価が下がる量で買う(使い切れる範囲で)。
- 販売先を変える:イベントや自分のショップなど、手数料の低い売り方を組み合わせる。
- 価値を伝える:素材のこだわり、つけ心地、ラッピングなど、価格の理由を写真と文章で見せる。
- ラインナップを分ける:手軽に買える作品と、時間をかけた作品を分けて値段をつける。
販売先ごとの手数料の違いは、ハンドメイド販売サイトの手数料比較にまとめています。
まとめ
- 値段には、材料費・梱包費・工賃・販売手数料・上乗せ利益(+送料)を入れる。
- 手数料は足し算ではなく「÷(1 − 手数料率)」で逆算する。
- 「材料費×3」は、手間のかかる作品では時給が大きく下がることがある。
- 制作時間は撮影や梱包も含めて、一度実際に測る。