ハンドメイド作品の値上げの仕方|タイミング・いくら上げるか・お知らせの文例
公開:2026-10-15
材料は値上がりし、2026年10月には送料も上がりました。それでも「お客さんが離れそうで」と値段を据え置いていると、同じ作品を同じ時間で作っているのに、手元に残る額だけが静かに減っていきます。
この記事では、値上げが必要かどうかを数字で確かめる方法、いくら上げればいいかの計算、そしてお客さんへの伝え方の文例をまとめます。
1. まず、今の値段で時給がいくらになっているか見る
例として、材料費200円・梱包40円・制作30分・時給1,000円・上乗せ10%・minneで送料込みの作品を考えます。
| 以前(材料200円・送料185円・手数料10.56%) | 今(材料240円・送料240円・手数料10.66%) | |
|---|---|---|
| 計算上の適正価格 | 1,120円 | 1,230円 |
| 1,120円のまま売った場合の手取り(材料・梱包を引いたあと) | 約577円 | 約481円 |
| 1,120円のまま売った場合の時給 | 約1,153円 | 約961円 |
材料が40円、送料が55円上がっただけで、時給は約190円下がっています。値段を変えていないのに、働いた分の2割近くを自分で負担している状態です。 まずは計算機に今の材料費・送料を入れて、「今の価格だと時給いくらか」を見てみてください。
2. いくら上げるか:足し算ではなく、計算し直す
「材料が40円上がったから40円値上げ」では足りません。販売手数料は価格にかかるので、上げた分にも手数料がかかります。 上の例では、材料40円+送料55円=95円のコスト増に対して、必要な値上げ幅は約106円(10円単位に切り上げて110円)です。
必要な値上げ幅 ≒ 増えたコスト ÷(1 − 手数料率)
手数料10%なら、増えたコストの約1.11倍を上げる必要があります。 計算し直した価格が1,230円なら、1,250円や1,280円のようなキリのいい数字に寄せても構いません(下げる方向には寄せないこと)。
3. 値上げのタイミング
- 材料・送料・手数料が変わったとき:理由を説明しやすい、いちばん自然なタイミングです。
- 新作から:既存の作品は据え置き、新作は新しい計算で値付けする。古い作品は在庫がなくなったら新価格で再出品。
- 年に1回、決まった時期:「毎年○月に見直す」と決めておくと、小刻みな値上げで何度も説明しなくて済みます。
- 注文が追いつかないとき:作れる数より注文が多いなら、値段が低すぎるサインです。
避けたいのは、イベント直前や、お客さんがカートに入れている最中など、突然の変更です。
4. 伝え方:短く、理由をひとつ、感謝を添える
長い謝罪文は必要ありません。読む側が知りたいのは「いつから」「どの作品が」「なぜ」の3点です。
文例A:販売ページ・ショップのお知らせ欄
いつもご覧いただきありがとうございます。
材料費と送料の値上がりにともない、○月○日より一部作品の価格を改定いたします。
これからも長く使っていただける作品づくりを続けるための改定です。ご理解いただけますと幸いです。
文例B:SNSでの告知(事前)
【お知らせ】○月○日から、ピアス・イヤリングの価格を見直します(例:1,120円→1,250円)。
金具と送料の値上がり分を反映したものです。現在の価格でのご購入は○日までです。いつもありがとうございます。
文例C:リピーターの方へ(メッセージ・同梱カード)
いつもありがとうございます。○月から価格を少し見直させていただきました。
今後も変わらない品質でお届けできるようにするためです。これからもよろしくお願いいたします。
5. よくある心配と、考え方
「値上げしたら売れなくなりそう」
数百円の差で買うのをやめる人がいる一方で、安さではなくデザインや作りで選んでいる人は気にしません。 仮に売れる数が1割減っても、1点あたりの手取りが2割増えていれば、合計の手取りは増えます。 まずは一部の作品で試して、数か月の売れ行きを見てから広げるのも手です。
「相場より高くなってしまう」
相場に合わせると時給が最低賃金を割るなら、その相場は作家が自分の時間をただで出している価格です。 合わせ続けるかどうかは自分で決めてよいことです。相場より高くなったときの工夫は、値段の決め方の後半にまとめています。
「値上げの代わりにできることは?」
- 送料込み→送料別にする(価格表示は変えずに送料ぶんの負担を戻す)
- 制作時間を短くする(まとめ作り、工程の見直し)。時給の上げ方で例を挙げています
- 梱包を簡素にして材料費を下げる
まとめ
- 値上げが必要かは、今の価格での「時給」を見れば決まる。
- 値上げ幅は増えたコストの足し算ではなく、手数料込みで計算し直す。
- コスト改定や新作のタイミングで、短い告知を事前に出す。