ハンドメイドの原価計算のやり方|材料費を1個あたりに直す方法とロス率
公開:2026-10-15
「このピアス、材料費はいくら?」と聞かれて、すぐに答えられるでしょうか。 パーツは100個入りで買い、布は50cm単位で買い、レジン液はボトルで買う。だから作品1個あたりの材料費は、計算しないとわかりません。
この記事では、ハンドメイドの原価(材料費と梱包費)を1個あたりに直す計算を、材料の種類ごとに説明します。
原価に入れるもの・入れないもの
| 原価に入れる | 原価とは分けて考える |
|---|---|
| 作品に使った材料(パーツ・布・糸・レジン液・金具など)、ラッピングや台紙・袋などの梱包材 | 自分の工賃(制作時間×時給)、販売手数料、送料、道具代や電気代などの間接的な費用 |
工賃や手数料を「原価」に混ぜてしまうと、材料費の3倍のような倍率で値段を決めたときに、何が足りないのかが見えなくなります。 まず材料費と梱包費だけをきちんと出し、工賃・手数料・送料は値段の決め方の計算式で足していくのがおすすめです。
1. 個数で買う材料:入り数で割る
1個あたりの単価 = 買った値段 ÷ 入り数
- ピアス金具 100個入り 550円 → 1個 5.5円。1作品に2個使うなら 11円
- 天然石ビーズ 20個入り 1,200円 → 1個 60円。2個使うなら 120円
- 9ピン 200本入り 330円 → 1本 1.65円。4本使うなら 6.6円
1円未満の細かい数字も、そのまま足していって最後に丸めます。先に丸めると、たくさんの材料を使う作品ほど誤差が大きくなります。
2. 長さで買う材料:1cmあたりに直す
リボン・コード・チェーン・テープ類は、1cm(または1m)あたりの単価を出して、使った長さを掛けます。
- リボン 1m 300円 → 1cm 3円。15cm使うなら 45円
- チェーン 1m 480円 → 1cm 4.8円。40cmのネックレスなら 192円
3. 面積で買う材料:布は「cm²」で考える
布は「幅110cm × 50cm で 880円」のように売られています。使った分を面積で出します。
1cm²あたり = 買った値段 ÷(幅cm × 長さcm)
- 880円 ÷(110 × 50)= 1cm²あたり 0.16円
- 20cm × 20cm の布を使うなら、400cm² × 0.16円 = 64円
型紙どおりに切り出すと端切れが出るので、使った面積は「型紙の面積」ではなく「切り出すのに必要だった四角い面積」で数えると現実に近くなります。 それでも余る分は、あとで説明するロス率で見ます。
4. 重さや量で買う材料:レジン液・粘土・ワックス
- レジン液 25g 1,100円 → 1g 44円。1個に2g使うなら 88円
- キャンドル用ワックス 1kg 1,500円 → 1g 1.5円。80gのキャンドルなら 120円
- 粘土 200g 400円 → 1g 2円
使う量がわかりにくいときは、一度だけキッチンスケールで「作る前」と「作ったあと」のボトルの重さを量ると、1個あたりの使用量が出ます。
5. 材料の送料・手数料も材料費に入れる
ネットでパーツを買ったときの送料や、海外から買ったときの手数料は、その注文の材料費に上乗せします。 たとえば合計3,000円の注文に送料500円なら、すべての材料を「買った値段 × 3,500 ÷ 3,000」で、約17%高く見ておきます。 面倒なら、ロス率や上乗せ利益に数%を足して吸収しても構いません。
6. 道具や型(モールド):使う回数で割るか、上乗せ利益で見る
シリコンモールド、刻印、カッター台、UVライトなどは、1回では使い切りません。「何回くらい使えそうか」で割ると1個あたりの費用になります。
- シリコンモールド 500円を50回使うなら → 1回 10円
- UVライト 3,000円を300回使うなら → 1回 10円
回数の見積もりが難しいものは、無理に材料費に入れず、値段計算の「上乗せ利益(10〜30%)」でまかなう、と決めておくと計算が楽です。 ねづけ帳では、上乗せ利益の欄がこの役目をします。
7. ロス率:失敗・端切れ・試作の分
布の端切れ、気泡が入ってやり直したレジン、長さを間違えて切ったチェーン。こうした「作品にならなかった材料」も、実際には買っています。 作品1個の材料費に、ロス率として5〜15%ほど上乗せしておくと、実態に近くなります。
- 端切れがほとんど出ないビーズ作品:0〜5%
- 布や革を裁断する作品:10〜15%
- 失敗がときどき起きるレジン・陶器・ガラス:10%前後
材料費 268円にロス率10%なら、約295円として計算します。
8. 梱包費も忘れずに
台紙、OPP袋、ショップカード、緩衝材、封筒、マスキングテープ、リボン。1個あたりにすると数十円でも、必ず毎回かかります。
- ピアス台紙 50枚 400円 → 8円
- OPP袋 100枚 300円 → 3円
- ショップカード 100枚 1,000円 → 10円
- クッション封筒 20枚 600円 → 30円
この例では合計51円。1,000円の作品なら5%にあたります。
計算例:天然石のフックピアス
| 材料 | 買った値段 | 単価 | 使用量 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| フックピアス金具 | 100個 550円 | 5.5円 | 2個 | 11円 |
| 天然石ビーズ | 20個 1,200円 | 60円 | 2個 | 120円 |
| 材料費 小計 | 131円 | |||
| 台紙+OPP袋 | 11円 | |||
| ショップカード・封筒 | 29円 | |||
| 原価 合計 | 171円 |
この171円に、工賃(30分 × 時給1,000円 = 500円)と上乗せ利益、販売手数料を足して値段を出します。 続きの計算は値段の決め方で、同じピアスを例に説明しています。
まとめ買いは「使い切れる量」で
500個入りのほうが1個あたりは安くても、使い切る前に流行が変わったり、金具が変色したりします。 単価が下がる効果より、使い切れずに残るロスのほうが大きいことはよくあります。目安は「半年〜1年で使い切れる量」です。
記録を続けるコツ
- 材料を買ったら、その日のうちに「名前・値段・入り数」を書く(レシートは捨てない)。
- 作品を作ったら「使った材料と数」を書く。あとからだと思い出せません。
- 値上がりしたら材料の値段だけ更新する。作品の材料費は計算し直す。
ねづけ帳の作品・材料の管理では、材料を「買った値段と入り数」で登録しておくと、作品に「どれを何個」と入れるだけで材料費が出ます。 材料の値段を変えると、その材料を使う作品の原価と価格がまとめて更新されます。